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ビンシーはよく「チューッ」と歯を吸う。ダイアレクトでsuck yo teeth(サック ヨ ティート)、直訳すると歯をすするという。
何か嫌なことやツライこと、自分の意にそぐわない事があると、これをやる。日本でいうと、「ちぇっ」に近いかもしれない。毎日そこらじゅうでチューチュー言ってる。 そんなに毎日、嫌なことがあるんですかい? と、始めの頃は思っていたが、彼らにとってsuck yo teethは一種の不満解消法の様で、文句を言うつもりはないらしい。その証拠に、ハリーに怒られた後、生徒がハリーの前で「チュー」っとやったが、ハリーは何も言わなかった。 ある時、日本人はよく泣く、という話題になった。ツライ事や悲しい事があったら、泣くのは普通じゃない?と言うと、 「ツライことがあっても、suck yo teethしてそれでお終いよ。」 ビンシーは明るい。脳天気ともいう。いつもポディシブ。その自信は一体どこからくる。 だが、彼らの暮らす社会は日本よりもある意味厳しく、理不尽な理由で命が無くなる事もある。多くの友達・生徒らが若くして父母、兄妹などの身内を失っている。 「suck yo teethしてそれでお終い」 どんなにツライ事があってもくよくよせず、笑顔で暮らす彼らの強さ、逞しさを知った気がした。 日本に居る祖母が亡くなった。この仕事を決める時、最も心配していた事が現実になってしまった。一晩中悩み、事務所・家族と相談した結果、一時帰国せずに、ビンセントに留まる事にした。 冷静な判断ができず、時間だけが過ぎ、どんどん追いつめられる中、 私を救ってくれたのは、ハリーやMr.レントン、周囲のビンシーたちの言葉だった。 校長たちは一様に休暇を快諾してくれ、ハリーに至っては 「家族の意見がどうであれ、残りの任期がどうであれ、Yukoの気持ちが一番大事だ。とにかく今は家(インディアン・ベイ)に帰って、ゆっくり考えろ。」と言ってくれ、朝一で学校から帰された。 そこで、初めて冷静に考える事ができた。 私はビンセントの発展を助ける為にここへ派遣されているが、私の生活はビンシー達によって守られ、支えてもらっている事をあらためて実感した。 同僚・友達に本当に感謝。 ==================================== ばばちゃん、ビンセントと日本の空は繋がってるからね。 by y-oharatti | 2010-01-09 23:16
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