セントビンセントノオハラ


青年海外協力隊20年度1次隊としてカリブ海に浮かぶ小さな国セントビンセントで活動してました。
by y-oharatti

2009年 09月 09日 ( 1 )


嵐のPESTA

新年度第1回目のPESTA(体育教師分科会)。

いつもはいないメンバーや、転勤した元カウンターパートに久しぶりに会ったりする。
だが、今日は去年1回も会議に出てこなかった人がいた。

それは、ゴジラ
一応、ゴジラの名誉の為に言うと、ゴジラの学校は複数名体育教師がいるので、他の教師が参加しているので、ゴジラは来る必要がなかった。

だが、今日は複数で来ている。なんで???


いつも通りの、なが~くて、一度決まった事をもう一度確認したり、さんざん蒸し返したり3時間余り。会議もそろそろお開きになろうとした時、ゴジラが吠えた。

それも、ハリーに。

ゴジラはこれをしに、わざわざ来たのである。

要点は、
・この前のインタースクール・アスレチック(4月!)で、ハリーがゴジラの生徒に強い生徒指導をした。
・Windward Islands Games(夏休み)で、ハリーが不正をしてハリーのクラブチーム(ネットボール)の子を代表に入れた。

と、いうもの。
ゴジラはあんまりにも腹が立ったので、ランチに食べたチキンボーンをバックの中にしまい、ハリーに投げてやろうと思っていたらしい。(本当にこう言った)

どちらも正解なのだが、2番目に関してはちょっと違う。

確かに、選手選考の規定からすると、ハリーはルール違反である。だが、その選考にハリーだけが関わったわけではない。ハリーのチームの選手はジュニアでも、ナショナル・チームに所属している子が何人かいる。それは、普段のハリーの努力の賜と言っていい。

ハリーのすごいところは、選手がプレーする環境を整える力と言っていい。保護者や両親と強力なタッグを組み、家族みんなが選手を応援するような雰囲気を作ってしまうのだ。離島から通ってくる選手には交通費を出し、ハリーの家に泊めている。クラブの資金運営を透明化する為に、保護者と一緒になってBBQやスナックを売ったりして資金集めもする。

まさに、日本の体育人である。高校駅伝や、高校野球の監督を彷彿とさせる取り組みである。


そういう人並み外れた努力の結果、ビンセント、という事情も手伝ってはいるにしても、ジュニアにしてナショナル・チームに選抜されるのだ。

説明が長くなったが、
Windward Islands Games代表になったハリーの選手は、学校チームのカテゴリーにおらず、対象外だったのだ。だが、最終決定したのは、ネットボール協会と、教育省。ハリーに否はない。何より、その選手が選ばれたとき、誰も文句を言わなかったのだ。言えなかったのかもしれないが、実際のところ、その選手抜きにビンセントのネットボール全勝はあり得なかった。

日本でもよくありがちな話だが、ビンセントならなおさら。チームに貢献する選手ならば、多少の規定は皆が目をつぶったに違いない。

だが、ゴジラは目をつぶらなかった。

なんかハリーに恨みでもあるんか、とも思ったが、理屈上、ゴジラの言っている事は正しい。そして、ゴジラは自分の学校から選手が選ばれなかったのが悔しいのだ。それに相応しい選手がゴジラの学校に居たのかどうか、私はそこまでは知らないが、もし、ハリーの選手が学校チームにいて、そのチームがどんなに弱くてもその選手は選ばれていただろう。そのぐらい、その選手はズバ抜けているのだ。


ハリーに恨み言を言う人間を、何人か私は知っている。だが、そういう人間に限って、現場にいない。ハリーはいつも現場にいる。ハリーのやり方に問題がないとは言えないが、少なくともハリーは選手と向き合い、選手にとって、チームにとって良い方法をいつも考えているのだ。


私が問題だと思うのは、ハリー・ゴジラに関わらず、普段、ずさんなルール・規定管理を行っていて結果オーライで物事を済ませているのに、いざ不満や問題が起こると、さかんにルールや規定をふりかざす事。
失敗から学ばず、毎回同じ事をやってる。

物事整えて筋を通す事は、時間も手間も労力もかかるから。

だが、そういう手間を惜しむから同じ轍を踏む事になかなか気づけない。気づいても、変える事のできない、このビンセント社会事情。この国が、「人が開発途上国」と言われる所以である。

by y-oharatti | 2009-09-09 23:04